厚生労働省がまとめた、2017年4月1日時点での待機児童数は前年に比べて2528人増えて、2万6081人と発表しました。
待機児童は深刻な社会現象です。
待機児童の多さの理由として、保育士の不足・保育園の不足があります。
平成27年に国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律が成立しました。
この法律が成立する前は、保育士になるために受ける保育士試験は年に1回しか開催されませんでした。
保育士を増やす必要があるのにもかかわらず、試験が年1回しかないのはおかしい、ということで上記に書きました、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律を成立させたのです。
この法律には、保育士不足への対策である「地域限定保育士」制度の創設が盛り込まれていました。
各自治体は従来の年1回の保育士試験にプラスして「地域限定保育士試験」を行えるようになったのです。
※平成28年には保育士試験は年2回に拡大
今回は、地域限定保育士について紹介します!
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地域限定保育士とは?
Contents
地域限定保育士とは文字通り、特定の地域のみで働くことができる保育士のことを言います。
地域限定保育士の試験に合格した自治体のみで働く保育士のことを指します。
資格取得後3年間は勤務地域が限定されます。
4年目以降は通常の保育士として全国で働くことが可能です。
一般的な保育士との違いは?
一般の保育士は、保育士資格試験を合格した場合、全国で働くことができます。
地域限定保育士は試験に合格した自治体のみで働くことができる、ということが大きな違いとして挙げられます。
なお、保育士試験と地域限定保育士試験の試験内容は同じです。
採用方法とは?
採用方法は、通常の保育士と同様であり、合格した自治体での勤務のみということの違いだけです。(3年間は)
通常の保育士試験と地域限定保育士試験の合格率の比較
厚生労働省の平成27年度の保育士試験実施状況にある合格率を実施地域別に比較します。
千葉 通常試験22.9%
地域限定保育士試験18.3%
神奈川 通常試験22.8%
地域限定保育士試験23.6%
大阪 通常試験23.0%
地域限定保育士試験22.0%
沖縄 通常試験14.1%
地域限定保育士試験14.9%
合格率は差が大きくないことがわかります。
このことから、難易度が実質的に差はないことがわかります。
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地域限定保育士のメリットとは?
保育士試験には科目合格の制度があります。
合格した筆記試験の科目は、合格した年を含めて3年間有効です。
ですから、前期、後期の試験の場合ですと3年間でチャンスは6回あります。
地域限定保育士の筆記試験で合格した科目は、通常の保育士試験でも免除されますので、地域限定保育士試験も含めるとチャンスは9回になります。
つまり、合格するチャンスが増えるというメリットがあります。
(試験費用がかさむことはデメリットですが)
また、この地域限定保育士の試験は全国どこに住んでいても受験が可能です。
3年間は限定された地域でしか働けない、というとデメリットと感じてしまうかもしれません。
しかし、4年目以降は全国で働くことが可能になります。
また、もし地域限定保育士として登録してから1回も働かなかったとしても、3年たてば全国で働くことができます。
地域限定保育士であっても、通常の保育士資格が取得可能です。
ですから、通常の保育士試験を受けて合格をすれば、3年たたなくても全国で働くことが可能となります。
働きたい地域で地域限定保育士の試験の実施があれば、合格後すぐに保育士として働くことができます。
また、保育士の需要が高い自治体で働くことができます。
地域限定保育士のデメリットとは?
3年間は特定の地域でしか働くことができないことが一番のデメリットでしょうか。
また、地域限定保育士の試験は実施する自治体が定まっているわけではなく、不安定です。
申請間近になりませんと実施されるかがわからないため、実施が発表されるまでの試験のスケジュールの管理が難しいことも挙げられます。
また、地域限定保育士の認知度の低さも挙げられます。
保育士試験と地域限定保育士試験の難易度は同じだと先ほども書きましたが、イメージ的に地域限定保育士の試験の方が簡単だと思われがちです。
地域限定保育士の登録について
保育士試験を合格しましたら、登録事務処理センターに必要な書類を送り、保育証を発行してもらいます。
登録事務処理センターのホームページはとてもわかり易く親切に作成されていますので、簡単に登録処理ができると思います。
地域限定保育士は、登録して3年が経過しないと、通常の保育士として働けないと何度も書いてきました。
これは、地域限定保育士試験に合格した日ではなく、登録した日から3年ということです。
登録までには事務処理センターに書類を提出しなければなりませんので、合格してすぐに書類を提出したとしても約2か月はかかってしまいます。
ということは、登録が送れますと“3年経過しないと”という決まりがどんどんと伸びていってしまうことになります。
ですから、この登録は早く済ませるようにしてください。
また、地域限定保育士は履歴書にも「地域限定保育士資格取得」と書くことになります。
これも3年間はこのような記載になり、その後は「保育士資格取得」
と記載できるようになります。
まとめ
社会問題である待機児童。
地域限定保育士制度の実施によって、保育士不測の解消につながることが期待されています。
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